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2026.07.29

デザイナーインタビュー

デ!さんぽ ~デザインのみちくさ~ Vol.4
川の流れに逆らわないデザイン

今回のデ!さんぽは、SAITAMAデザイナーズバンクの登録デザイナーと街を歩きながら、その人が普段どんな視点で物事を見て、何を考えているのかをのぞいてみる企画です。

舞台は、熊谷の星川通り。グラフィックデザイナーの森さんと歩きました。
森さんは、企業や商品のデザインに携わる一方、公的支援機関のアドバイザーや専門学校講師としても活動し、企業支援やデザイン教育にも幅広く関わっている方です。

星川通りの真ん中には、小さな川が流れています。
その両側を、人と車が行き交っています。

歩き始めに、森さんへ一つ質問をしました。

「デザインとは何ですか?」

森さんは、「思いやり」と答えてくれました。

街の景色を見ながらその川沿いを歩いていると自然と、街とデザインについての話になりました。

まちづくりのようなテーマに興味があるか。
森さんに、そう聞くと「専門ではない」と前置きしながら、その土地で何が栄え、どのような産業や住環境があり、なぜ今の姿になっているのかを知るのは面白い、と話してくれました。

「多分、全部に理由がある。
その理由が分かると、合点がいく」
そんな言い方でした。

もし、デザインの仕事としてまちづくりに関わるなら、その土地にフィットさせた取組を行いたいか。それとも、あえて異質なことをやりたいか。

森さんは少し笑いながら、すぐに答えました。

「百パーフィットですね」

そして、こう続けました。

「川の流れに逆らう必要はないと思っている」

最近は、違和感そのものを表現として活かすデザインもよく見かけます。

私自身も、「あえて違和感をつくる」ことに面白さを感じるタイプだったので、その言葉の意味が気になり、もう少し話を聞いてみました。けれど、話を聞いているうちに、それは「目立つことを避けたい」という意味ではないことが分かってきました。

その場所や人、暮らしや事業の内側から自然に出てくる “目立ってやろう” という気持ちなら、それもその場所らしさの一部になる。一方で、外から持ってきた違和感を、そこに無理に置くだけなら、少しずれてしまうのではないか。

森さんの言う「フィット」とは、目立たないようにすることではなく、その場所の中から何かが出てこようとしているのかを見極めることなのかもしれません。

「海がない場所で、ここは海だと言い張るより、風が吹いている場所なら、その風を活かした方がいい」

森さんは、そんな風に例えていました。

街でも、商品でも、会社でも。
そこには、その場所や人たちが積み重ねてきた流れがあります。

デザインは、それを無理に塗り替えるのではなく、まずその “流れ” を読むことから始まるのかもしれません。

——そんなことを考えながら、
川沿いを歩いていると、「流れに逆らわない」という言葉が、森さんの言う「思いやり」と少し重なって聞こえてきました。

水の流れにも、街の流れにも、人や会社の流れにも、それぞれの理由があります。
デザインもまた、川の流れのように、その場所に沿いながら、緩やかに次のカタチへ向かっていくものなのかもしれません。

帰り道、どこからともなく、昭和のあの名曲が頭の中で流れていました。


今回一緒に歩いた人|森 恵さん

グラフィックデザイナー。公的支援機関のアドバイザー、専門学校講師としても活動。起業支援や販促物制作、デザイン教育などに関わる。SAITAMAデザイナーズバンク登録デザイナー。